4月某日、久し振りにAngenieux 50mm f0.95が入荷しました。
水晶玉のような大きな前玉をキラキラ輝かせ、妖艶なオーラを発する両者を眺めていると、試写館長として描写比較への抑えがたい衝動に駆られました。
早速、三脚にライカ SL Type601をセットし、撮り比べをスタート(こうなると職場放棄をして独自行動を開始します)。
ノクチ E58は解像感が高く立体感強めの写り(さすがのライツ!)、アンジェは甘〜い写りで柔らかな雰囲気(おフランスなのできっとステキ!)などと予想をしながら撮影をしたのですが、見事に裏切られました。
思い込みとはそんなものなのですね(結果はこの後の比較をご一読ください)。
アンジェ 0.95とノクチ E58を比較検証をしているうちに、新たな欲望が湧いてきます。
テストの大前提として、ガラスのコンディションが良い個体だけを選び撮影しています。
そのレンズ本来の描写が得られるであろう個体を選びテストする、ここは試写館長としては譲れない最重要ポイントです。
以下、拙文ですが、お付き合いよろしくお願いします。
↓ ノクティルクス 50mm E58 絞り開放
↓ アンジェニュー 50mm f0.95 絞り開放
中心部の描写はE58と良く似ています。意外!周辺に向かうにつれ賑やかになります。
そして四隅はかなり明確に蹴られます。
↓ Summilux 50/1.4 2nd 絞り開放
鉄板のズミルクス 50mm 2nd。美しいボケと立体感が印象的です。素晴らしすぎる描写です。これがあれば50ミリは「上がり」と思ってしまうほどです(カメラ屋さんに怒られそう)。
↓ Summarit 50/1.5 絞り開放
ズマリットはズミルックスと比較すると、わずかに解像感が下がる印象です。周辺の流れも強くなりますが、実に味わいのあるレンズです。いいなぁ。今回は撮影していませんが絞ってもすごくイイです。
↓ Leitz Xenon 50/1.5 絞り開放
同じf1.5とはいえ、ズマリットと比較すると光量がわずかに不足気味に。ノンコートが故でしょうか。暴れるボケと強めの周辺落ち。クセの強さが魅力のクセノンです。ダジャレじゃありません(笑)
↓ Summicron 50/2 (M) 1st Rigid 絞り開放
ド定番のズミクロン 50mm固定鏡胴・後期型。素晴らしい写りです。解像感、ボケ味のバランスも秀逸。それにしても強烈に良く写りますね。絞り開放からコレなので、本当にすごいレンズです。完全無欠のオールドレンズ。
↓ はたまたE58 絞り開放
やはり、あま〜い描写ですね。豊かなボケと相まって、実にアートな雰囲気です。中央付近の吹き飛ぶような後ボケが被写体をググッと引き立たせます。ノクチならではの味わいですね。
↓ そしてアンジェ0.95 絞り開放
こちらもあま〜い描写です。周辺の暴れ方はE58とは異なる印象ですね。よりクセが強く、印象的な作画を求める方にはE58よりこちらでしょう。意外にも絞り開放から合焦部の描写はクッキリとしていて、1枚の絵の中でのギャップの強さが特徴的です。
↓ E58絞り開放
甘く美しい世界です。ズルいレンズです。日常を非日常へと変えてしまう、魔法の力があります。
↓アンジェ0.95 絞り開放
こちらもまた甘美です。ケラレが出ます。それがまたイイ感じでもありますね。
不完全さを受容して、最も特徴として活かせる部分に目を向けて活用すべきレンズでしょう。いいところに目を向けて、悪いところには目をつぶる。そういう意識が求められる気がします。
↓E58 絞り開放
遠景チェックです。甘いながらもしっかりと解像しています。
↓アンジェ0.95 絞り開放
こちらも遠景。解像力もあります。実はE58よりも画角がわずかに広いですね。
↓E58 絞り開放
当店の入口ドアです。後ろの光源を狙っています。E58の方がアンジェよりも丸い形の玉になりますね。
↓アンジェ0.95 絞り開放
中心から外になるにつれ、光源の写り方が平べったくなります。ぱっと見は凄く似ていますね。
結論
E58とアンジェ0.95、どちらもすごく良いですね。作画の雰囲気が似ているというのは新発見でした。
次の機会には歴代ノクチをコンプリートして描写比較をしてみたいと思います。
というわけで、当店ではノクチのお買い取りを大募集!
どうぞ宜しくお願いいたします。
試写館長 M本
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